2024/08/04 14:56

ZASSHU vol.3に掲載した『ZASSHU STORY』について。読み物としてまとめていく中で個人的に感じたことなどを綴っておきます。

1本目、諸上さんファミリーと暮らすロルフくんについて。
ロルフくんは、THE野犬くんって感じの怖がりさん。今まで犬を飼ったことがなかった諸上さんファミリーにとって、野犬の子を飼うことは決して易々と決断できたことではなかったと思います。それでも、印象的だったのは人慣れしていないことは承知の上で面会に行った時、不安はなかったのですかという質問に「会ってみないと分からない」とはっきり仰ったこと。もう、本当にその通りだなと。当たり前だけど、はじめから犬の扱いに慣れてる人なんていないわけで。誰もがはじめて犬を飼うときは会ってみないと分からないし、やってみないと分からない。逆にはじめてだからこそ、他の犬と比較せず、何の先入観もなく娘さんが一目惚れしたロルフくんを「よし、この犬を懐かせよう!」と思えたのかもしれません。
もちろんお家に迎えてからは大変なこともたくさんあったと聞きました。でも、お話を聞いている中で感じたのは、「さぁ、どうしようか」と予想外の出来事を楽しんでいるともとれる様子。こういうマインドって、実は飼育ハードルの高いワンコを飼うときに一番大事なんじゃないかなと個人的に思うのです。
違う環境で生きてきた言葉の通じない生き物相手に、思い通りにいくことはそうそう多くない。そんな時に深刻に思い悩まず「なるほど、そうきたか」「じゃあ、これならどうか?」と、まさに諸上さんファミリーがお話していた「ゲーム感覚」で対応すること。そして小さな成長を家族で喜ぶこと。それが犬にとっても人にとっても負荷がかからずハッピーに過ごせる秘訣のような気がしました。
意図せずとも、はじめての犬で野犬の子を迎えたファミリーの素敵な例として紹介することができて、感謝の気持ちでいっぱいです。


2本目は、“とーちゃん”こと、まつけんさんと暮らすえびすくん。
えびすくんは、実は同じ市内に住んでいて何度かお会いしたことがあります。
よくいる中型雑種犬よりも2まわりくらい大きくて、黒いブチ模様に片方だけひょっこり垂れたお耳。見たらすぐに「あ、えびすくんだ!」と分かるまさにオンリーワンな出たちです。
まつけんさんの日頃のケアのおかげか、えびすくんはとっても元気で若々しく見えるのですが、なんともう13歳。13年分の思い出があるわけです。そうなると、やはり書きたいことも自ずと増えてしまいます。でも紙媒体の悔しいところで、スペースは増やせない…。こんなにも削る作業に労力を使ったのははじめてでした。
泣く泣くカットしたのは、えびすくんの尻尾が上がらなくなるという一時的な不調から興味を持って勉強をはじめたという“犬の整体”や、近所の海さんぽで出会ういつもの犬仲間とのことなど。でもやっぱり13年の歴史の中でも“かーちゃん”こと奥様と、まつけんさん、えびすくんの3つの生命で寄り添って過ごしていた期間が、えびすくんとご家族の“らしさ”がより伝わるエピソードだなと感じて、その期間を多めに紹介させてもらいました。
よく「ペットは家族か否か論争」ってあるじゃないですか。人と犬の場合は、そりゃもちろん生物的に違う種で、それは揺るぎない事実であって。でも、「家族」って「社会」と同じくらい曖昧な言葉だなと思うんです。人によって解釈もイメージも異なる、定義付けできない言葉。そういう前提を持った上で言うと、私は人と犬は家族になれると思います。そして、えびすくんのご家族は結び付きの強さからしてその象徴のような関係性だと感じました。
奥様が亡くなってから、仕事を辞めてえびすくんとの車旅をはじめたまつけんさん。そのふたりの旅を、そして家での何気ない生活も、奥様が見守っているようなイメージが浮かぶのは私だけでしょうか?


3本目は、横浜で松本さんご夫婦と暮らすおもちちゃん。
松本さんに取材オファーをしたのは、インスタを拝見したときにセンスの良いお家やアウトドアを楽しむ様子など、そのライフスタイルの格好よさに衝撃を受けて「こんなオシャレな方の雑種犬との暮らしぶりをぜひ聞いてみたい!」と思ったから。
保護犬との出会いって、みんなある種の運命を感じていると思うのです。今までのZASSHU STORYでお話しをお聞きしたどのご家族も、「本当にたまたまタイミングがよく」「ビビッときて」そういったことを仰っていました。松本さんのお家に迎えられたおもちちゃんも例外ではなく、運命を強く感じた存在。たまたまお家に来た日が、前のワンコの誕生日で且つ、ご夫婦の結婚記念日というミラクル。出会いって本当に不思議な縁があるものだなとつくづく感じました。
古いお家をご夫婦自らの手で素敵に改装したり、休日にはのんびりアウトドアを楽しんだり、生活を楽しむことがお上手なお二人。そこに人間大好き、お外も大好きなおもちちゃんが加わって、またおもちちゃんに合わせて創意工夫しながらお家も遊びもさらに楽しく素敵にアップデート。
犬を家族に迎えることで変わること、変えなきゃいけないことってもちろんあると思います。毎日散歩に行かなきゃいけないし、長時間の外出はできないし。そういうのはもちろんあるけれど、でもいざ振り返ってみると、変えなきゃいけなかったことよりも、犬との暮らしに合わせて自然と変わっていっていたことの方が多いなと気づく方も多いのでは? 一緒にお出かけできるアウトドアが多くなったり、毎日掃除機をかける習慣がついたり、自然と抜け毛の目立たない服を選ぶようになったり(笑)。それってもはや当たり前のことで、ストレスとも感じないし、逆に今まで知らなかった楽しさを教えてもらうことだって多い。犬ももちろん人との生活に頑張って慣れてくれてると思うんですけど、人も自然と犬との生活に合わせて変わっていける。一緒に暮らすってこういうことなんだなと思います。
インスタからも魅力的なライフスタイルは十分伝わるのですが、お話を伺って、誰とも比べず、気取らず、自分たちのスタイルを無理なく楽しんでいる感じが伝わってきて本当に素敵だな〜と改めて感じた松本家。中型雑種犬を迎えても、自分たちらしく暮らしを楽しむことってできるんだ!という参考になればと思います。

今回も見た目も性格も家族構成もそれぞれ違う、3組の雑種犬とそのご家族のお話を紹介させていただきました。
みんな違ってみんないい、とても素敵な3組でした。取材協力ご快諾いただき本当にありがとうございました!